「闇金ウシジマくん」 凶悪キャラクター・ランキング

「闇金ウシジマくん」 凶悪キャラクター・ランキング

評論/石原貴洋

 

全登場人物の中から厳選!
コミックを誰よりも読み込んでいる石原かんとくによる
凶悪キャラクター・ランキング!
漫画の世界と、現実の世界を照らし合わせ
現実的にどのキャラが凶悪なのか、どういうタイプが強いのか
唯一無二のキャラクター評論!

 

10位 : 鼓舞羅(こぶら)

ガタイ(体)が良く、運動神経も良いチンピラ。
滑皮の銃で撃ち殺され、手の指先を全て切断され(存在隠滅)、
サンパイ(産業廃棄物)のゴミにされてしまいました。
隼人が仕掛けた投資詐欺による鼓舞羅とウシジマたちの攻防戦を描いた
コミック23巻では、当時最新の投資詐欺が描かれ見事でした。
その後、現実に大阪でも同等の手口による投資詐欺が多発。
荒稼ぎした投資詐欺グループが毎晩、北新地でドンペリ抜きまくりの馬鹿騒ぎでした。
石原にも投資の誘いがきましたが、投資するほど金を持ってないので断りました。
なんで美味い話を人に持ちかけるねん、アホか! と思ってましたが、案の定、
そのグループは消えて行きました。1年弱の栄華でしたね。

 

9位 : 顎戸三蔵(がくとさんぞう)

あれ? 9位? 顎戸三蔵、低くねえか? こいつめちゃくちゃ危ねえ奴じゃんか!
そういうお声がかかりそうなので、9位の理由を丁寧に説明させて頂きます。
滑皮とウシジマにやられたから順位が低い訳ではありません。
昔からの法則のようなものですが、こういうタイプはいずれ袋叩きにあいます。
なぜか?
兄弟以外の人間をいじめまくっているからです。
悪党も小悪党も仲良くなれば良い一面があったりするもんですが、
顎戸三蔵は肉蝮と一緒で良い一面もクソもなく、ただ人をいじめるだけ。
誰も愛してくれないし、死んだらみんな喜ぶタイプですね。
10代のうちは、まだこういう恐怖政治は通用しますが大人になったら通用しません。
恐怖政治をやろうとしても「社会」ではうまくいかず、それでも
恐怖政治をやりたいから人里離れた場所でホームレスたちを搾取していじめる。
いじめの対象が弱者でしかない。これはワルとしても情けなく強いとは言えない。
滑皮やウシジマがやっていなくても、どのみち獅子谷兄弟あたりが
制裁を加えているハズです。そういう意味で9位です。
余談ですが顎戸三兄弟に搾取されていた竹本くん。
過去シーンで再登場した時、嬉しかったのですが、きっと日本全国の読者の中にも
竹本くんの再登場を望んでいた方も多いのでしょう。
竹本くんを地獄に送ってしまったウシジマの苦悩と後悔のシーンが忘れられません。

 

8位 : 鷺咲(さぎさき)

它貫の次に登場ページが少ないが強烈な印象を残す、さきざきローン社長。
胡散臭さランキングでは堂々の1位です。
1対1で喧嘩したら弱いランキングでも1位です。
でも不気味な訳の分からなさ、後々面倒くさそうな感じが全面に出て怖いです。
東京は分かりませんが、大阪・ミナミにはこういうオッサンいますよ!
ジャケットの裏地に凝ってて髪型はリーゼント系。青春時代は横浜銀蝿。
バックにヤクザがいるのか、いないのか、すげえ微妙なオッサン。
ただ、このオッサンが携帯で誰かを呼び出したら危ないですね。
携帯で呼ぶフリするハッタリ野郎はいますが、こういうタイプは案外、
本当に呼んで来るものです。ネットワークがしっかりしてる悪党ですね。
鷺咲の策略で沖縄の風俗に売り飛ばされた風俗嬢・杏奈が
コミック37巻で別人になって再登場した時は本当に驚きました。
30巻ぶりの再登場とか、とんでもない漫画ですね。
鷺咲もまたロマンチストである事が、最後のつぶやくセリフで読み取れます。
元々は純粋な人間だったんでしょう。
というか、人間誰しも、生まれた時は純粋なのです。

 

7位 : 熊倉義道(くまくらよしみち)

現在よりも過去シーンで熊倉は昔は切れ者だった事が判明します。
部屋住みの滑皮を運転手にし、朝食にオイルサーディン丼を振る舞うなど、
大胆さだけではなく気遣いの繊細さも光っていました。
ちなみにオイルサーディン丼を自分も作ってみましたが美味しかったです。
鼓舞羅に頭をカチ割られてから全ての歯車が狂ってしまったが、
それもこれもウシジマから強引にカネを引っ張ろうとするから
こんな事になってしまうのです。昔はよく稼いだけど、実入りが減ってタカリをし、
タカリの相手・ウシジマに殺されるという情けない最期でした。
そういう点では、飯匙倩の方が一枚上手ですね。

 

6位 : 獅子谷鉄也(ししやてつや・兄)

獅子谷・兄も相当ヤバイですが6位です。
才能と狂気とカリスマ性があるのに、ネタ(シャブ)を喰ってたのが減点。
コミック41巻の過去シーンでは飯匙倩からシャブを買うシーンがあり、
飯匙倩ファンは大いに喜んだものです。しかしシャブは良くありませんね。
シャブのせいで獅子谷・兄の被害妄想は深刻化。
被害妄想が強くなるから些細な事で部下をリンチし、そのせいで部下は裏切り、
本部の大金を強盗され、容疑者と罪なき者までリンチし、死者が出るなど泥沼化。
こんな事になった原因の根本はシャブです。
滑皮の右腕、梶尾も元々は獅子谷・兄の手下だった。
シャブを喰って狂いだすような人間には人は付いていかなくなるものです。

 

5位 : 它貫(たぬき)

ここに挙げたキャラクターの中で最も登場ページの少ない它貫。
少なくても分かるのが、它貫の抜かりなさ。脇が甘くなく、ミスも少なそう。
シノギがうまくいかなかった場合の、いわゆる「プランB」 「プランC」を
ちゃんと用意してそうなタイプですね。ロシアンマフィアのルートがあり、
割と経済的に安定した冷酷なヤクザという印象ですね。

 

4位 : 飯匙倩(はぶ)

シャブの密売、アパレル開業資金融資(のちに搾取)などのシノギを持つ。
ちなみに飯匙倩が登場するコミック16巻~17巻の「楽園くん」編は
全シリーズの中でもベスト3に入るほどの傑作だと思います。
風呂場の中でのウシジマとの対峙はとてもワクワクドキドキしました。
ウシジマに殴られてブチギレの状態にも関わらずオヤジ(組長)の電話にはサッと出る。
ワンコールで出ないと酷い目にあう飯匙倩のオヤジがどんな人間か気になりますね。
推測ですが、ハゲ頭の太ったオッサンをイメージしてしまいます。
飯匙倩の原点が分かるコミック35巻の柴拳(しばけん)のエピソードが強烈。
柴拳の名前の由来について一切説明がありませんが、
おそらく柴田拳太郎みたいな名前で「柴拳」という名が付いたのでしょう。
ああ~、こういう推測をするのが幸せです、楽しいです。
この柴拳エピソードはコミックでは、ほんの数ページしかありません。
しかし映画監督目線で恐縮ですが長編映画一本分の密度がありますね。
「闇金ウシジマくん・番外編/恐怖の柴拳~飯匙倩誕生物語~」
という長編映画の脚本の依頼が来たら余裕で書けますよ。
もちろん、誰からも依頼は来ませんが(笑)
こういう柴拳エピソードなどを惜しみなく放り込んでくるあたりが、
「闇金ウシジマくん」のゴージャスな面白さだし、真鍋先生の非凡さを感じます。

 

3位 : 獅子谷甲児(ししやこうじ・弟)

ヤクザではない半グレの日本代表選手。
今やヤクザより半グレのトップの方がぶっちぎりにカネを持っているそうです。
高級車数台を運転手付きで所有し、タワーマンションの最上階に住み、
オモテのシノギと、ウラのシノギを両方シッカリ持っている。
民間人として戦ったら実際に強いしカリスマ性もあり、部下も多い。
獅子谷は現実世界とリンクしているキャラの一人ですね。
肉蝮は短命型の狂犬なのに対して、獅子谷は社会性がちゃんとあり、
社会の中に潜む賢さがあるので、割と長生きするタイプだと思います。
漫画ではウシジマの罠で爆死しましたが。
女がスマホを床に落としただけで怒鳴りつけ

「運気が落ちた。捨てろ!」

と言う辺り、なるほどなあ、と感心させられました。
アクセサリーや数珠を好む者は、運気や風水を気にするものです。
開運の信仰にカタギも悪党もない事を真鍋先生は証明されています。
平気で人のモノやカネを奪える人間が運気を気にしたり、
玄関を綺麗にしていたり、正月に神社で手を合わせたりしているもんです。
悪党の中でも下っ端よりも、上の位の人間ほど、そうしますね。
これは、どの業界にも通じる人間法則のようにも思えます。
そして意外にも獅子谷甲児のような男がロマンチストだったりもします。
兄をずっとリスペクトする気持ちを持っていたり、
複数いる女や子供には優しかったりする姿勢がチラッと出てきます。
身内には優しく、身内以外の人間には拷問も半永久奴隷も平気で出来る、
ハイクラスな悪党ですね。

 

2位 : 肉蝮(にくまむし)

究極のキ○ガイ。完全自由主義者の一匹狂犬。
話し合いは不可能。穏便に済ませた事がないので穏便の意味がわからない。
個人戦として1対1のみで戦ったら、肉蝮が1位でしょう。
ただし個人戦を外して、現実世界そのままのルールでいくと2位です。
なぜならば、肉蝮の場合、殺してしまえば後は平穏だからです。
肉蝮を殺しても後の厄介さが何もない。仕返しする者も誰もいない。
むしろ死んで皆がホッとする、そういう悪党ですね。
これは統計は取りにくいので石原の勝手な推測ですが、日本人の中に
肉蝮のようなタイプが生まれる確率は400万分の1かと思われます。
生まれても、だいたい30才までには殺されてしまいます。
大阪にたったひとりだけ、肉蝮に近い人間が現実にいます。
誰とも組まず、完全自由主義で好き勝手にやるタイプです。
今どうしているのか? もちろん塀の中です(笑)
コミックの29巻で久しぶりの登場には嬉しくて声を出してしまいました。

 

1位 : 滑皮秀信(なめりかわひでのぶ)

暴走族総長からヤクザの部屋住みを経て、自分の組を持つに至る。
愛沢が地獄に堕ちる直前、コミック全巻を象徴するような名セリフを吐き出しています。

「地元で頭めがけて金属バットをフルスイング出来る奴は2人しかいなかった。滑皮と丑嶋。奴らは別世界の人間だ」

このセリフがキーワードだと連載当時から思っていましたが、コミック18巻で、
その理由がシッカリ描かれた時には感動を通り越してシビれてしまいました。
ウシジマは金属バットで顎戸三蔵の後頭部をフルスイングし、
滑皮は巨大園芸バサミで顎戸三蔵の唇を切り落としています。
滑皮とウシジマ。この2大巨頭の餌食になったのが顎戸三蔵だというのが笑えます。
若いうちはイケイケ(武闘派)で危ない奴はいくらでもいますが、
滑皮の恐ろしい所は恐怖の形態が常に進化し続けている事にあります。
自分で組を構えてからは、梶尾と鳶田という絶対信者を部下に付け、
身内の敵・豹堂に言わせると将棋の「金」と「銀」がベッタリ横に付いている。
これは強い! なかなか城を落とす事は出来ません。
ただでさえ強いのに、獅子谷甲児を力づくで部下にし、権力を拡大させていく。
この飽くなき貪欲さは、億単位のカネもどんどん吸い込んで行く。
21世紀以降の悪党は、滑皮タイプの方が強く生き残りますね。

 

特別ランキング : 加賀勝(かがまさる)

ウシジマが経営する闇金融の社員。
マサルくんも執念深くて怖いですね。
その執念深さは飯匙倩を抜いてコミック最長記録です。
最終巻では、まともな大人へと成長していったようですが。
みなさん、最後に質問ですが、マサルくんはどう思いますか?
ウシジマを恨む気持ちは、まあ百歩譲って分かるとして、マサルの裏切りのせいで
結果的には加納が殺されちゃったじゃないですか。
そして、そんなマサルをウシジマと柄崎はヤキだけで許しちゃうでしょう。
「闇金業者は金にならない事はしない」
というウシジマ自身のセリフで筋は通っています。
メンツで生きるヤクザとは違うんだ、と。それは分かるんですが。
みなさんはどう思いますか?
僕は許せませんね。